2013年 10月 14日
美に殉じる者 |
州之内徹の「気まぐれ美術館」は、芸術新潮に連載中はこのエッセイを読むために芸術新潮を買うとまで言われた傑作で、州之内の事を小林秀雄が「いま一番の文章の書き手」と評したと、白州正子が伝えている。その「気まぐれ美術館」は村山隗多から長谷川利行、関根正二、松本俊介辺りを書いているときは、乗りに乗った見事なというか壮絶な文章が展開されているが、次第に絵から離れ、中島みゆきの歌の話から軍艦島で夜明かしをする話から、次第に文章と州之内の生き方とが渾然一体となり、物凄い州之内ワールドが展開されていく事になる、、、。その中に、こういう話が載っている。いま「気まぐれ美術館」シリーズの全巻を読み返して確認している時間が無いのだけれども、大凡こんな話だったと記憶している。
或る夫婦が年金暮らしに入り、息子夫婦の厄介になるのも気が進まず、軽四輪のワゴン車を買いそこに鍋とカセットコンロと布団などを積んで、夫婦で旅を続けている。寒い季節には南に向かい、暑い季節には北に旅して、金が無いときは鍋で煮炊きをして車に泊まり、年金が入れば安い旅館に泊まったり銭湯や温泉で風呂を使い、そんな風にして日本中を旅してる、という話だったと思う。
俺は、この話を読んで非常に感動して自分も老後はこういう風に過ごしたいと奥様に言ったのだが、秒殺で却下されてしまった。曰く「そんなの絶対に嫌です」「病気になったらどうするの?」、、、、俺はその老夫婦の気持ちが良く解る気がする。人生なんてその程度のもので良いと思う。奥様は分かって呉れないみたいだけれども。
或る夫婦が年金暮らしに入り、息子夫婦の厄介になるのも気が進まず、軽四輪のワゴン車を買いそこに鍋とカセットコンロと布団などを積んで、夫婦で旅を続けている。寒い季節には南に向かい、暑い季節には北に旅して、金が無いときは鍋で煮炊きをして車に泊まり、年金が入れば安い旅館に泊まったり銭湯や温泉で風呂を使い、そんな風にして日本中を旅してる、という話だったと思う。
俺は、この話を読んで非常に感動して自分も老後はこういう風に過ごしたいと奥様に言ったのだが、秒殺で却下されてしまった。曰く「そんなの絶対に嫌です」「病気になったらどうするの?」、、、、俺はその老夫婦の気持ちが良く解る気がする。人生なんてその程度のもので良いと思う。奥様は分かって呉れないみたいだけれども。
by speedshopfalcon
| 2013-10-14 15:11
| 日常