2013年 11月 03日
ほこ X たて |
ほこたての話の続きです。
まずニッタンの合金はサーメットですがHv2100以上というとてつもない硬度を持つ焼結合金です。これは別に番組のために開発した物ではなく、ちゃんと日本タングステンのラインナップにあります。では、どうして今まで対戦相手があれほど苦労してきたのか?恐らく、これは推測ですが、ニッタンが売らなかったことと、この金属の製品が殆ど世の中に出回っていなかったためではないかと思われます。因みに、あの材料は海底ケーブルのコネクターの部品の素材です。
さて、不二越さんはテスト用にHv1900位の金属を用意して何度もテストされたようですが、それより固い材料だったということが対決して初めて分かったようです。一般に、切削工具の硬度は被切削材の硬度に対して三倍が要求されると思いますが、我々普段使っているCBNでもHv4000-5000くらいだと思います。ちなみにハイス(SKH、ハイスピードツールスチール)はHv900位です。さて、ビッカース2100などという硬度の材料を削れる物質は、地球上にひとつしか有りません。それはダイヤモンドです。ダイヤモンドも天然ダイヤと人造ダイヤがありますが、本当は天然ダイヤの方が硬度が高いのですが、恐らく予算の関係でしょうか、イワタツールさんは人造ダイヤを使われたようです。また、切削プログラムも不二越が直前になって横マシニングが使えなくなり縦マシニングで失敗したのをみたからなのか、安田の5軸加工機を使って、更に只のヘリカル加工ではなく軸もワークテーブルを傾斜角を付けて加工した様です。これはどういう事かといえば、不二越も単なるヘリカル加工ではなくてスリバチ状に勾配を付けて削り下ろした様に、工具側面を有効に使おうとしたからだと思います。
イワタツールの工具の実物です(私が携帯で撮影)
これは番組で実際に使用した工具のスペアだそうです。横に置いてあるのが工具の母材、焼結ハイスで硬度はHrc62。本当は穴加工してから熱処理すれば良かったんでしょうが、番組の準備の時間が限られていて、焼き入れ済みの母材に、自社工具でダイヤモンド埋め込み用の穴を後加工されたとの事でした。
この赤い色は何なのか疑問だったのですが、ジャストさんが電着されたのは、何と「銅」! 柔らかい銅を工具に使うという想像も付かない工夫があったのですね。その理由は、熱伝導を改善しようとしたからでしょう。精密研削加工に携わる方はよくご存じだと思いますが、ダイヤモンドというのは熱伝導率が悪く、熱を持つとダイヤがやられてしまう、なので少しでも工具の放熱性を高めるねらいと思われます。
不二越の堀部長(現在は取締役)のお話では、あの収録は台本無しのガチだったそうで、確かに息が詰まるような対決の様子が充分感じられましたし、私も見ていて痺れました。
イワタツールさんと関係会社の皆さんに拍手!
まずニッタンの合金はサーメットですがHv2100以上というとてつもない硬度を持つ焼結合金です。これは別に番組のために開発した物ではなく、ちゃんと日本タングステンのラインナップにあります。では、どうして今まで対戦相手があれほど苦労してきたのか?恐らく、これは推測ですが、ニッタンが売らなかったことと、この金属の製品が殆ど世の中に出回っていなかったためではないかと思われます。因みに、あの材料は海底ケーブルのコネクターの部品の素材です。
さて、不二越さんはテスト用にHv1900位の金属を用意して何度もテストされたようですが、それより固い材料だったということが対決して初めて分かったようです。一般に、切削工具の硬度は被切削材の硬度に対して三倍が要求されると思いますが、我々普段使っているCBNでもHv4000-5000くらいだと思います。ちなみにハイス(SKH、ハイスピードツールスチール)はHv900位です。さて、ビッカース2100などという硬度の材料を削れる物質は、地球上にひとつしか有りません。それはダイヤモンドです。ダイヤモンドも天然ダイヤと人造ダイヤがありますが、本当は天然ダイヤの方が硬度が高いのですが、恐らく予算の関係でしょうか、イワタツールさんは人造ダイヤを使われたようです。また、切削プログラムも不二越が直前になって横マシニングが使えなくなり縦マシニングで失敗したのをみたからなのか、安田の5軸加工機を使って、更に只のヘリカル加工ではなく軸もワークテーブルを傾斜角を付けて加工した様です。これはどういう事かといえば、不二越も単なるヘリカル加工ではなくてスリバチ状に勾配を付けて削り下ろした様に、工具側面を有効に使おうとしたからだと思います。
イワタツールの工具の実物です(私が携帯で撮影)
これは番組で実際に使用した工具のスペアだそうです。横に置いてあるのが工具の母材、焼結ハイスで硬度はHrc62。本当は穴加工してから熱処理すれば良かったんでしょうが、番組の準備の時間が限られていて、焼き入れ済みの母材に、自社工具でダイヤモンド埋め込み用の穴を後加工されたとの事でした。
この赤い色は何なのか疑問だったのですが、ジャストさんが電着されたのは、何と「銅」! 柔らかい銅を工具に使うという想像も付かない工夫があったのですね。その理由は、熱伝導を改善しようとしたからでしょう。精密研削加工に携わる方はよくご存じだと思いますが、ダイヤモンドというのは熱伝導率が悪く、熱を持つとダイヤがやられてしまう、なので少しでも工具の放熱性を高めるねらいと思われます。
不二越の堀部長(現在は取締役)のお話では、あの収録は台本無しのガチだったそうで、確かに息が詰まるような対決の様子が充分感じられましたし、私も見ていて痺れました。
イワタツールさんと関係会社の皆さんに拍手!
by speedshopfalcon
| 2013-11-03 15:50
| 仕事