2010年 04月 16日
1Q84 BOOK3 |
Amazonから今日届いた1Q84 BOOK3を一気に読む。青豆は生きており(彼女は首都高でピストルの引き金を引かなかった)、天吾に謎の取引を持ちかけて来た牛河(教団の使いの元弁護士)を中心に物語が進行する。そして、多くの謎が解かれるがしかし語られない謎も多い。天吾は自分の母親が殺された事を知らず、しかしその話は看護婦の安達が自分の体験として天吾に語る。彼の父親の死と、そのベッドに一度だけ現れた空気さなぎの意味とは、何だったのか。青豆の妊娠と、そしてリトルピープルが何故牛河の死体に空気さなぎを作ろうとするのか。NHKの集金人を名乗る男の執拗なノックは、何を意味しているのだろうか。NHKの集金人だから当然天吾の父を想像するのだろうけれど、何故死の床にある天吾の父親が執拗なノックをするのか。多分俺の読み方が悪いのだとは思うのですが、もう一度少し時間を掛けて読み返してみたいですね。村上ワールドにしては今回は随分リアリズム小説めいて、何だか話が収まるべきところに収斂してしまって一寸力が抜かれたけれど、この話は結局は恋愛小説で、その意味では「国境の南、太陽の西」と関連が有る様に読めるし、「ねじまき鳥クロニクル」は話を広げすぎてやや纏まりが悪くなって収拾が付かないまま放り出した様な印象だったけれど、今度は逆にまとまって面白くない様な感想です。あんまりネタバレでは申し訳ないのでこれ以上は書きませんが、村上春樹の読者でなくても読みやすいという意味では悪くは無いとはおもいますけれども。前の2冊の書評としてちらっと眺めた限りではまあまあなのはこれ。いろんな読み方が出来るとは思いますが、村上春樹の世界に正面から向かい合うとしたらこの本は最初の1冊にはお勧め出来ないと思います。俺だったら、やはり「ノルウェイの森」かな。それと、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」、そして「海辺のカフカ」あたりでしょうか。1Q84の登場人物は、結局は村上ワールドのいつもの役者さん達が名前を変えて登場しているので、そう言う意味では(文学部的に読み解くという意味では)やや陳腐かも知れないし、それが村上ワールドなんだろうけれど、ここから更に世界を深く掘り下げるような方向性が欲しいです。「ねじまき鳥クロニクル」ではそれが有ったけれど、今回は有りそうで無かったのではないかしらん。物語の筋道としては「世界の終わり-」のパラレルワールドに「国境の南、」の筋書きを加味した、的な。なんだか取り止めのない感想で済みませんが、取りあえずは読みましたという感想文でした。そう言えば、「ノルウェイの森」の映画は進んでいると思いますが、トラン・アン・ユン監督が村上春樹を口説いたそうですが、どんな映画になるんでしょうか。なんだか、自分の中の大切な物が壊されるような映像にだけはなって欲しく無いという気持ちです。映画化に関してこんな事書いてる人がいてちょっと笑ってしまいましたが、やはりキモは直子を演じる菊地凛子でしょう、期待してます。
by speedshopfalcon
| 2010-04-16 18:30
| 読書